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『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読んだ感想の箇条書き

2024年5月20日

tags: reading

自己啓発がもたらすのは即効性のある情報であり、文脈やノイズが混じった知識ではない

新自由主義が広まった現代において、労働者階級が求めるのは知識ではなく情報

『花束みたいな恋をした』で麦がパズドラしかできなくなり、自己啓発書ばかり読むようになったのは、情報を求める必要に迫られているから

ひろゆきの論調に説得性があるように見えたり、それを支持する人が増えるのは、文脈やノイズを必要としない情報を求める社会に原因がある

これは最近流行っているメンズコーチなどの自己啓発系YouTuberの存在と似ている

いわゆるそうした自己啓発を蔑視する風潮は昔からあり、それは一種のエリート仕草のような側面がある

『花束みたいな恋をした』で絹は、労働しながら文化的生活を継続し、麦とは階級に差がある現実があり、自己啓発を読み漁る彼に対する忌避が見られた

知識を持たない者は過去や文脈を必要としない情報を求めて賛同する

知識を得るための行動には文化資本が絡んでくる

この階級格差によって文脈を持たない者が情報を盲信してしまうのか

学歴に対するコンプレックスの解消として、当時はカルチャーセンターが女性に人気であったものの、それを蔑視する風潮もあった

それは現代でいうオンラインサロンに向けられた冷ややかな視線と似ている

全身全霊ではなく半身で仕事をするべきといった著者の提言があった

残りの余力でその人にとっての読書に該当する文化的行為を大切にするということ

自分にとってはノイズのない情報は自己啓発書ではなく技術書となりそう

では、ノイズのある知識を得るための読書は現代において淘汰されていくのか

著者はそうしたノイズは後から文脈となって自分に還元されるものであり、即効性はないが有用であるという意見

新自由主義は社会によって醸成され、各々が内面化したものに過ぎない事実があるものの、システムが存在する以上適応することが勝ちパターンとなっている

ただ利益を得るために、システムを内面化して行動すれば、既存のシステムの不備に対して声を上げなくなる

これは管理者にとっては都合の良い流れであり、自己責任が向かう先は全体にとって良いものではなさそう

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